2021年2月20日土曜日

暇なので長々とシマノの特許のことなど。

 本日(2月20日)は、前日の予報では晴れで気温高いとのことでした。なので、自転車で道志ダム方面に行く気満々でした。が、朝起きて自転車用の服に着替えたら背中と腰が痛み出しました。ううう、この痛みの感じ久しぶりです。どうでもいいけど、何で好日に痛みだすのでしょうか?が、ここで無理に出かければ、途中で動けなくなり悲惨な思いをするのが目に見えています。なので、泣く泣くロキソニンを飲んでベッドに潜り込みました。

 で、ゴロゴロしていても暇なので、ちょっとシマノの出願している特許について調べてみました。私は会社では知財関係の部署にいて、一応特許のこととか知っているフリをしているのですが、実は特許制度が大嫌いで何も知らないという人間です。特許制度というのは、小狡くて金に卑しい奴が空論を振りかざして独占権を主張して意地汚くあぶく銭をせしめることで、産業の発展を阻害する制度だと思っています。ですが、まあ、暇だし、新しいデュラエースに関して特許情報をもとに予想することが流行っているので、私もやってみようと思った次第です。

 で、シマノといえば、あぶく銭を大儲けして世界的な企業となっています。今では日産よりでかくなっちゃったらしいです。なので、世界中の特許情報が一元化されている欧州特許庁のデータベースを調べてみたのですが、2010年から2021年の期間中に世界中で公開されたシマノの特許出願は5000件近くありました。これは自転車関係に絞ったもので、釣具や製造関連のものは除外しました。また、この数字は出願国や分割出願など内容的に重複したものを含んだ延数で、出願中のものや、すでに失効してしまったものも含まれます。それにしても膨大な数です。出願した国をみると、米国、中国、台湾、が中心で、まあ、日本とドイツにも出しておこうかあと言う感じ。ライバル企業や製造力のある国を中心に出願している感じですね。ドイツに出している特許の多くはEバイクに関するものなので、ボッシュとかシーメンスとかの電気メーカーに対抗しようとしている感じがアリアリです。日本への出願がしりすぼみ気味なのは、もはや国内に敵無しなので、国内特許などに無駄な金を使いたくないという事ですかね?いやあ、さすがはドケチな釣具屋さん世界的な精密加工メーカーだけあって、効率的な出願戦略だと思います。

 さて、新しいデュラエースについてですが、なにしろ特許の数が多いので、私のような痴呆気味の老人では情報を解析して読み解く事ができませんでした。とりあえず、シマノさんは最近ではEバイクに関する出願が多く、ディレラーに関する出願の数は少なかったです。さすが、わかりやすい目先の儲けには食いつきがいいですね。
 で、無線コンポについての明細書では、図面も設計図面らしきものがそのまま使われていましたので、新型デュラエースもハンドルにあるスイッチから無線ユニットまでが有線でつながり、その先のディレイラーまでがが無線でつながるというシステムになるのでしょう。明細書中の図面が設計図のような感じのものは、それがそのまま製品になる可能性が高いです。
 あと、スマホ、サイコン、パワーメーターなどの信号も無線ユニットで受信して、制御信号としてディレイラーに送信するための無線通信のためのモードスイッチングシステムに関する出願もありました。パワーメーターからのペダリング情報やスマホからの情報(インターネット情報)でギヤを変えるようなシステムのための出願でしょうかね?こちらは米国で特許になっていますが、製品に使われるかどうかもわかりません。なんとなくまだ検討中な感じです。
 おもしろそうなのは、リヤのスプロケに突起をつけてチェーンの動きを円滑にするというのがありましたが、製品化されるのでしょうかね?AIと画像解析で部品の消耗具合を解析するというのもありましたが、これは流行りものをとりあえず出してみたという感じでしょうか?

 ついでに、スラムのほうはというと、シマノの無線化を抑えている特許がUS10421521とかUS9540071でしょうか?優先日が2015年とかなので、完全無線の分野ではしばらくはシマノを抑えて安泰なのでしょうね。あと、スラムではディレイラーハンガーを廃して、スルーアクスルと同軸で留めるような機構を出願していました。多分、リアディレラーの強度と精度の向上のためのもののような感じですが、これはおもにMTB向けのものかな?

 で、シマノもスラムもカンパの本国であるイタリアにはほとんど出願していません。カンパが無理して日本に結構な数の出願をしていたというのに、もはや全然相手にしていない感じ。かつてはアクチュエータを用いた電動ディレラーの出願で、他社の電動化を抑えていたのですが、特許が切れた途端に、シマノに席巻されてしまいました。
 逆に考えれば、カンパがシマノやスラムの特許を使った製品をイタリヤで作って、シマノやスラムの特許の出ていない国で販売すれば、特許については回避できるという事ですが、それではマーケットが小さすぎなのでしょう。マネしたところで冷間鍛造とか工作精度とかの製造ノウハウで、もはや太刀打ちできないという事かもしれません。この際、シマノがありまる金でカンパを買ってしまい、企画、開発部門とブランドを残してデュラレベルのカンパ製品を日本で製造するとかあれば楽しいかもしれませんが、そんな事はしないでしょうね。冷徹にながめながら、消え去っていくのを見守るのでしょう。

 さらについでに、新しいデュラエースに関わる意匠登録があるかどうかも調べてみましたが、こちらはありませんでした。シマノに限らず、自転車屋さんはあまり、意匠に興味がない感じですね。むしろ、パナソニックやブリヂストンなどの異業種のほうが積極的です。まあ、デュラエースのデザインには期待するヒトは少ないでしょうから、これはこれで良いかもです。でも9000シリーズ復刻版で性能はさらに向上となったら、シマノ嫌いの私でもきっと逝ってしまうと思います。

 今年はシマノ創業100周年とのことで、まずはおめでたいことです。ですが、普通の企業だと100年ぐらいを境に、合併とか分社化とかしてなんとなく企業としての輪郭が曖昧になり、企業としての体力も衰えるということになりがちな気がします。というのは、私の勤務先がそうなのです。シマノの場合はどうなのでしょうか?いまはコロナ禍のおかげで急速に規模がでかくなっていますが、それが収まってしまうと、自転車市場の規模も縮小してしまうでしょう。Eバイクの市場も電気自動車が拡大し自転車の市場が小さくなると萎れてしまうでしょう。その時にいままでのように、身の丈にあってできることしかしない経営でやっていかれるのかな?今、お金のあるうちに市場が縮小しないように自転車市場全体が大きくなるような事に投資しておかないと、今後が辛くなるのではないかと思います。

 などと、なんか柄にもない事を書いちゃいました。よその会社の心配じゃなくておまえの勤めるとこの心配をしろよ、といわれそうですが、いやあ、あれ、もうどうにもならないんですよ・・・。

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