昨年の大河ドラマは「べらぼう」というタイトルで江戸のメディア王といわれた蔦屋重三郎の生涯を描いたドラマでした。吉原育ちの蔦重が知恵と人情で書店(出版社)をどんどん大きくしていくのと並行して、江戸城内の権力闘争や政治情勢も絡めて進行するドラマです。宝暦から寛政にかけて、読本、黄表紙、狂歌、浮世絵などの出版文化が蔦重を中心に花開いていく様はものすごく面白かったです。下ネタが結構出てきたのも良い感じでした。
俳優陣もいい役者ばかり(女房様の受け売り)で、渡辺謙、石坂浩二、高橋秀樹といったベテランの重々しい演技がドラマを引き締めて良かったです。それに生田斗真は本当に憎々しくて不気味な一橋治済を演じていて、本気で殺意を抱く視聴者が出てくるのではないかと思えるほどでした。
浮世絵界の謎とされる写楽の浮世絵は、歌麿を中心とした浮世絵師のプロダクション体制で創出され、写楽は架空の人物であったという設定でした。通説では斉藤十郎兵衛という徳島藩の能役者とされており、史実と違うということで文句をいう人もいたようですが、これはドラマだし、写楽の絵を創る過程の描写が生き生きとして楽しげだったので、まあ、これはこれで良いと私は思いました。
で、そのまま、蔦重は脚気で死んで一橋治済は天下の楽を先んじて楽しんでカッポレカッポレと傀儡を操るということでドラマが終われば良かったのですが、なんだかドラマの後半が妙なミステリー風の展開になってしまいました。
一橋治済に裏切られて役職を剥奪されて恨み骨髄になった松平定信の策略で一橋治済は捕らえらてしまい、代わりにそっくりさんが将軍の父親として江戸城に送り込まれる、一橋治済は護送中に逃げ出すが川で雷に打たれてスッポンに股間を噛まれて(これは無い)死んでしまう。と、こうして書いてみると脚本を検討している最中に、「視聴率を稼ぐためにもっと万人にうけわかりやすい展開を入れよう」という横槍が入ったのではないかと勘繰られるようなムリ無理な展開です。そもそも一橋治済は江戸城内では腹黒いことをしたかもしれませんが、スターリンとかポルポトとかネタニヤフのように一般庶民を虐殺するようなことはしていないので、スッポンにチンコと金玉を噛みちぎられて悶絶しながら絶命するような無様な死にかた(ちょっと違う)をさせる必要は無い感じがします。
まあ、そんな感じで、後半では若干興が削がれる事もありましたが、蔦重の最期は私の好きな屁踊りと落語的なオチで締めてくれました。まあ一年間楽しませてもらいました。
で、今年の大河はどうするかといえば、うーん、ちょっとパスかな?テレビを観る習慣のない私にとってドラマを一年間観続けるというのは体力的にキツいんで・・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿